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正しい嘘

ショーンK氏の問題に関連して様々なコメントをいただいています。一緒に共演してきた識者の中には彼を擁護する人もいる。確かに嘘はあったが、コメントが的確だったし、実害もないし、いいじゃないか、というような。

先のコメントでお答えしたように、かつて会社に就職したときに、自分にも嘘があった。旅行会社社員として添乗に行く際に、たとえば台北なら台北に行くとして、ほとんどのお客様は初めておいでになるわけだが、それでもお客さんは「添乗員は台北ぐらい行ったことがあるだろう」というのを期待している。だけど、そうは言っても、どの添乗員もどこかで初めて台北に行くのである。研修で一度世界中の都市に行ってみる、などということは薄利多売の旅行業界では出来はしない。

ただ、一応申し訳をしておきますけど、自分の場合主戦場となったヨーロッパはある程度経験があったし、お茶を濁す程度には英語やフランス語も何とかなるというのはあった。流暢に話せなかったとしても、ホテルが確認できて、荷物の数が伝えられ、ドライバーさんに指示が出せればよい。それに、地図でホテルとメインストリートの店の位置とかは大方暗記していて、夜になると、旅行の行程に入っていない場所でもいろいろ尋ね歩いてみるということはしていた。今、後悔があるとすれば、ロンドンでレ・ミゼラブルを見ておくべきだったと思う。あのときは、行程に入っていなくて自腹だったからつい遠慮してしまった。見ておく価値があるものだったと思う。当時ニューヨークでキャッツがみられる云々というのが、すごい特権だということはあまり考えなかったのだ。いずれにしても、嘘の言い訳にはならないです。すみません。

 

それから、英語コンプレックス、みたいなのもあると思う。彼はやたら英語ができた。こういう人はいます。自分は、学生時代、割と英語以外の言語を勉強した。インテリゲンチャというものは英語ができるぐらいで満足してはいけない、みたいなことを考えていた。それでも、「アメリカに留学して、なんとか大学を出ました」みたいなのは、お金もいるし簡単にはできないわけだ。

でも、大学を出て、すごく英語ができたとしても、それだけで、就職して本当の英語が必要な場所が、高い地位の場所とは限らない。英語ができる、というのは、たとえば「日本語が話せる」というのと同じでそれだけで特別な何かがあるわけではない。通訳とか翻訳とか事務をするか、就職すればたいていは英語とは関係ない部署に配置される。だから、学歴はないけどやたら英語ができる人で、不満を抱えている人は結構いる。

「評価」といえばいいのに、「アセスメント」といわないと気が済まない、みたいな人は、逆に言うと日本語の語彙が少なく、教養のない人だと自分は感じている。

 

閑話休題。

 

自分は、結局のところ、「恐れからでる嘘」が悪いのだ、と思う。恐れから出たのではない嘘というのは、少なくとも嘘をついた本人にとって、それほど大きな問題ではない。

つまり、正直なことを言ったら、他人からこう評価されるのではないか、こういう人間だと思われるのではないか、肉体的・精神的被害をこうむるのではないか、それを何とか避けたい、という思いからやってくる嘘は本人にとって悪いのだ。

本当は、こういう言い方にも問題があるにはあって、たとえば振り込め詐欺の嘘というのは、恐怖から来る嘘ではない。明らかに、だまそうとしている嘘なので、悪いと言えば悪い。しかし、仮にそうだったとしても、この嘘の場合、少なくとも嘘をついている本人は精神的ダメージを受けていない。

病的なウソというのは、その人の中で恐怖が重要な位置を占めているのだと思う。劣等感の裏返しなのだ。

 

「添乗員は台北ぐらい行った人でないと・・・」というのは、実はお客さん側の恐怖を反映している。ショーンK氏のハーバードとソルボンヌを出て、世界に7つの現地法人を持つ経営コンサルタントという像も、ある意味視聴者の劣等感や虚栄心をくすぐる内容の嘘だったとは言えると思う。

世界そのものが、ある程度の嘘と虚栄心と恐怖で出来上がっているのだ。

 

自分にとっての今の問題は、もし全くそういう嘘や恐怖や虚栄心からではない行動というのができれば、人は通常見ることができないものを見ることができる、ということのほうだ。普通で健康的な人が「まともだ」と考えてしまうのは違うと思う。本当はほとんど誰もがその小さな恐怖や虚栄心を抱えて生きていて、・・・つまり誰しも嘘があって・・・もしそうでない人がいたとするなら、それだけでその人は人生でかなりの達成をしているはずだ、と思うのです。

もし、恐怖や利益に何も関係ない嘘というものが存在するなら、それは嘘としては認識されないだろう。

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