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心の戦い

何か困難なことをすることを考えていた。なんのことだったか忘れてしまった。何か、面倒くさいこと。あるいは他人が経験した苦しいこと。寒さのなかでするような何か。どこかに行くこと。

よく「自分はこんな困難を経験してきた。こんなことをやってきた。」と吹聴したがる人がいる。そしてある場合にはそれは本当につらい経験である。

たとえば寒い農地でつらい作業をずっと行う。健康を害するかもしれない。
しかし、心のわだかまりのない人は、それがつらくないという。にも拘らず、それがつらくないといっている人は、よくよく観察してみると実際にはそこでずっと作業していないことが多い。これはペテンなのではないか?
いや、そうではないんだ。それがつらくないという人は、そこでその作業をすることに対するわだかまりがないというだけだ。多分彼は似たような環境でつらいことをしてきたのかもしれない。とにもかくにも、彼は「よし、じゃ、やろか」という。

問題は「寒い農地でつらい作業を行わないといけない」ということであって、実際に「その農地」で「その作業をする」ことではない。捨てなければならないものは心のわだかまりだ。

実際にはその経験をしなくても良いのだと思う。それをためらいなくできるのなら、ある意味それをしなくてもいいのだ。

この障壁の正体は、いわば面倒くさいということであり、それをやることに対する恐れである。内的なものなのだ。どうせ寒いところでその作業をしたって、大抵はちゃんと終わるさ。なんとかなる。そこで「えーっ、そんなこと嫌だ。寒いし、きついし」と思ってしまう。

 

これは多分、ほとんどのことに当てはまる。

オルガ・ド・ハートマンがグルジェフについて書いている。第一次大戦のさなか、ロシアから中東を通ってヨーロッパに異動してきた彼らのグループは常に金策に迫られていた。彼は、メンバーの全員に金になるものはすべて差し出せ、と命令した。ロシアのいいおうちの出だったオルガは自分が持っている宝石にすごく執着があったが、一晩さんざん悩んだ末グルジェフにその宝石を持っていった。ところがグルジェフは部屋を出て行こうとするオルガを呼び止めて、「その宝石を持っていきなさい」と言ったのだった。彼女にとって必要なことは宝石に対する執着を捨てることであって、宝石を所持していること自体は関係ないと彼は考えていたわけだ。

金持ちが天国に入ることはラクダが針の穴を通るより難しい、といったキリストが「精神において貧者たるものは幸いである」と言ったのもそういう意味だと自分は思っている。

ただ、現実的な問題として、その心の壁を壊すためには、本当に寒い農地に出たり、本当に宝石を売ったりしなければならないだろう。
オルガ・ド・ハートマンのときはグルジェフがいた。普通はグルジェフはおらん。ということは、まさにその宝石を手放す場面を人生で経験し、恐らくは実際に宝石を手放す必要があるということだ。
精神における貧者になるためには、多くの場合、本当に貧者である必要がある。本当のことを言えば、それは精神における問題であって、実際には金持ちでもいい。だが、そこで種明かしを知っていて「金を失うことはないだろう」と思っていたのでは、心の障壁は壊れない。本当に金を捨てる決意をしたときにだけ、その執着に勝ったことになるのだから。

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